耳を澄ます力こそが、道を開く!『やまなしもぎ』

オイリュトミーで体験するやまなしもぎ の魅力って?

それは、生きた日本語のリズム「擬音」「擬態語」を、
心と体を動かして楽しく味わえることです。

 ゆけっちゃ カ〜サカサ

 ゆくなっちゃ ガ〜サガサ

カサカサ という静けさから、ガサガサ・・騒々しさへと
濁点がつくだけで一気に変化する!
言葉って、本当に不思議で面白いですね。

活字を見るだけではなく、声に出して発声したり、
オイリュトミーで発音体感を実際に動いたりすると、
違いがよりはっきりわかることでしょう。

動くことで
「ゆけ」、「ゆくな」
という意味の違いだけではなく、
擬音から醸し出される雰囲気が、魔法のように立ち現れて、
聴覚、触覚、そして無意識的な運動感覚までもが総動員され、

頭だけではなく、あらゆる身体感覚を通して
アブナイ感じや、不穏な雰囲気が、リアルに伝わってくるのではないでしょうか。
この
発音体感をオイリュトミーで動いたときに生まれる

「事物との一致感」

これこそが 他者の言葉を深く理解し、
自分の言葉を(身体言語も含めて)使いこなすための
「言葉」のセンサーを高めるのではないかと思います。

表面的な字面や、事実としての正確さ、だけでは、
言葉から多くを汲み取ることはできません。

また、表情や身振りが示す、言葉にならない「コトバ」、例えば
動作言語は、身体感覚を根っことして、織り成されたイメージ言語です。

自閉スペクトラム症の人たちは、言葉のセンサーが、非常に限定されていたり、一面的であることが多く、それが他者とのコミュニケーションを難しいものにしているという印象を受けます。

それは、以下に述べる「三つの言語体験」が繋がり、
意識的な領域と無意識的な領域が統合されることで、
改善が期待されます。

 

三つの言語体験

言葉には、話し言葉書き言葉があります。

子どもは、まず話し言葉を習得し、その後、ひらがなや漢字などの文字を習得するように、ベースとなるのは音声による話し言葉です。

(実はそれ以前の段階では、赤ちゃんが身振りで語る、動きの言葉 があります)

 

プエブロインディアン、アイヌなどに代表される先住民族の多くは、長らく文字を持たない文明でした。

それは

「アタマにではなく、ハートに響くように語る」ことを大切にしていたからです。

古事記、平家物語、アイヌのユーカラ、グリム童話も、元来、文字ではなく口で語り伝えれた口承文学でした。

 

しかし、知的になった現代人には、どちらかというと、書かれた文字の方が信頼され、語られた言葉や肉声は、さほど重きを置かれていないようです。

政治家も、口で言った都合の悪いことに対しては、「記憶にない」「忘れた」など無責任な態度を取る人が多いようですね。

 

 

話す音声の言葉にこそ、真実が込められている

 

しかし、数年前、行方不明の2歳児を発見、救出したボランティアのOさんが「口約束も契約だ。」と語っていたのがとても印象に残りました。(2018年8月)

警察官が、法律みたいなのがあって、決まりだから渡してくださいって言ったけど、だめですと言った。
約束は守らないけんと思ったから、それを守らせてもらったんです。

 

家族に対し「私が抱きしめて直にお渡しします」と約束していたというOさんは、「口約束も契約。警察が“渡してください“と来たけど、“イヤです“と言った。言うたことは守る。なんぼ警察が来ようが、大臣が来ようが関係ない。」

 

この「話す音声の言葉に、真実が込められている」という感性は、いささか時代遅れに見えるかもしれないが、実はとても大切だと思うのです。特に言葉を獲得し、心身が成長する子ども時代には。

 

話し言葉からは、肉声の息遣いや声色を通して、語り手の感情がダイレクトに伝わってきます。

メール文などの活字からは、それが感じられないのです。

文章を通して読み手が想像することはできるのですが。

 

子ども時代に、生きた音の響きや肉声で、信頼できる人と真心のこもったあたたかな対話をどれだけ交わしたか・・・

それによって言葉への信頼、人間への信頼、ひいては人間を超えた大いなる存在に対して、畏敬の念を抱けるかどうかが決まるような気がします。

 

赤ちゃんやハンディがあり、話せない人も、動きの言葉や眼差しで、語っています!

 

また、生きた音の響きに耳を澄ますことによって、音楽的な内的な耳が作られるのです。

 

 

言葉を正しく聴くことで道は開ける!

 

民話「やまなしもぎ」は、周囲が語る言葉=響きの中にこそ、真実が込められていること、

また、語られた言葉をしっかり聞くことで、道が開けることを教えてくれます。

 

「道」という漢字は、「首=意識すること」「辶=行くこと」から成り立っており、「意識して進むこと」を表わす。

 

言葉を正しく聞き取ることのできた三郎のみが横道にそれず、目的に向かって真ん中の道をまっすぐ進むことができたのです。

襲いかかる沼の主を退治し、ほかの兄弟を死の淵から救い出し、本来の目的である山梨をもぎ取り、病気の母に与え、病を癒すことができました。

 

「正しく聴く力」は、「まっしぐらに生きる力」に変化する。

それは、子どもの中の、本来の人生の目的に向かって歩み続ける能力となる。

 

人生百年時代を逞しく柔軟に生きていくためには、欠かせない重要な力ではないでしょうか?

 

言葉がもたらす魔法の力

 

聴く→話す→考える、判断、決断する(自我が育つ)

 

これは言葉を話す人間だけが持つ、魔法の力と言って良いでしょう。

 

しかもこの魔法の力は、他者の言葉や周囲の音を、耳を済まし、能動的に聞こうとすることによって、初めて育つ能力でもあるのです。

 

幼い子、障害を持つ子は、ほんとうの美しい言葉をたくさん聞くことで、やがて、しっかりした言葉を話し、その言葉で自ら考えることができるようになるのですから。

 

ぜひ、このお話は、目で文字を読むだけではなく、実際に言葉の響きやリズムを味わいながら声に出して語って欲しいですね。

そう、あたたかな心を込めて!

 

さらに動作言語のオイリュトミーで、全身を鼓膜にして動くと、もっと深いところで、心の耳を通して、聞こえてくることでしょう。

 

大自然の語る言葉・・笹の葉、鳥、ふくべ(ひょうたん)、風に揺れる山梨の言葉が・・・。

♪ゆけっちゃ、カーサカサ ゆくなっちゃ、ガーサガサ

♪ゆけっちゃ、カーラカラ ゆくなっちゃ、ガーラガラ

 

メルヘン連続講座でのオイリュトミーについて

 

メルヘンオイリュトミーは、全く未経験の方、初心者も楽しく体験できます。

導入には、言葉と音楽の源である「歌」を使った手遊び、運動遊び、そしてリコーダーなどの素朴な楽器による音遊びをご紹介します。

その後、メルヘンをやさしい動きのオイリュトミーで練習します。

活字では感じられない、言葉の律動と生命力をオイリュトミーで味わっていただけたら幸いです。

 

文=渋谷千栄子(オイリュトミスト)

 

この記事は、
オイリュトミスト 渋谷智栄子先生
『シュタイナー芸術オイリュトミー【那須・奏身舎だより】』
より引用しています。

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